新規事業のPOC営業を担う人材を採用したい。しかし、職務経歴書に「法人営業10年、年間売上1億円」と書いてあっても、それがPOCで通用するかはわからない。

POC営業に必要な5つの条件は既に整理した。本記事では、その条件を面談でどう見極めるか、具体的な質問と評価の考え方を整理する。

職務経歴書で見るべきこと・見なくてよいこと

見るべきこと

新規プロダクトや新規市場の立ち上げ経験があるか。スタートアップ在籍経験、社内新規事業への参画、新サービスのローンチに関わった経験。これらは「型がない環境で動いた経験」の有力な証拠だ。

転職回数が多い場合でも、毎回新しい環境を自分で切り開いてきたのであれば、POCへの適性を示す材料になりうる。

見なくてよいこと

既存商材の営業実績。年間売上や受注件数が大きくても、それが整った環境で出された成果なら、POCでの再現性は未知数だ。

マネジメント経験。POCで必要なのはチームを率いる力ではなく、自分で仮説を立てて動く力だ。管理職の経験は加点にも減点にもならない。

面談で必ず聞くべき3つの質問

質問①:「過去の営業で、自分でやり方を変えて成果を出した経験を教えてください」

この質問で「型を作る力」を見極める。

良い回答は、具体的なエピソードがあり、変更前と変更後の違いが明確で、なぜ変えたかの理由が論理的に説明されるものだ。さらに「その変更を他のメンバーにも展開して、チーム全体の成果が上がった」という話が出れば、再現性まで確認できる。

注意すべき回答は「お客様に寄り添うことを大切にしています」のような抽象的なもの。具体的に何を変え、どう成果に結びついたかが語れない場合、型を作った経験はない可能性が高い。

質問②:「売れなかった案件で、原因をどう分析しましたか。具体例を教えてください」

この質問で「構造化する力」を見極める。

良い回答は、失注の原因を複数の要素に分解して説明できるものだ。「顧客は課題を認識していたが、意思決定のタイミングが合わなかった。具体的には来期予算での検討になり、半年後に再アプローチした」──このレベルの分解ができていれば、売れなかった理由を構造化する素養がある。

「競合に負けました」「価格が合いませんでした」で終わる回答は、原因分析の習慣がないことを示している。

質問③:「明確な指示がない中で、自分の判断で動いて結果を出した経験はありますか」

この質問で「自走力」を見極める。

POCでは上司から「この通りにやれ」と指示が出ることはない。自分で仮説を立て、動き、結果を振り返るサイクルを自分で回せるかどうかが問われる。

新規事業やスタートアップの環境で働いた経験がある人は、この質問に対して豊富なエピソードを持っていることが多い。逆に、大企業の既存事業部門でキャリアの大半を過ごした人は、指示がある環境に最適化されている可能性がある。

評価の重みづけ

3つの質問の評価に重みをつけるなら、質問①(型を作る力)が最も重要だ。型を作れる人材は、構造化力(②)と自走力(③)も一定水準で備えていることが多いからだ。

質問①が弱く②③が強い場合は、サポートがあればPOCで機能する可能性がある。検証設計を上長や企画者が行い、実行を担当者が担う形だ。

質問①②③すべてが弱い場合は、どれだけ営業実績が豊富でもPOCには向かない。既存事業の営業に配置した方が、本人にとっても組織にとっても良い結果になる。

採用以外の選択肢も検討する

適切な人材がすぐに採用できるとは限らない。POC営業の適性を持つ人材は市場全体でも希少だ。

採用に3ヶ月かけている間に検証の機会を逃すリスクがあるなら、外部人材の活用を並行して検討する。外部人材でPOCを進めながら、その過程で型を整備し、後から採用した人材に引き継ぐ方法もある。

まとめ

  • 職務経歴書の営業実績だけではPOC適性は判断できない──新規立ち上げ経験の有無を重視する
  • 面談で「型を作った経験」「失注分析の経験」「自走した経験」の3つを聞く──具体的なエピソードで見極める
  • 適任者がすぐに見つからなければ外部活用を並行検討する──採用に時間をかけすぎて検証機会を逃さない

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